ここ5月のアッツ島ツアーが勝敗を決するのは間違いがなかった。 この地は北米のどこよりもユーラシアに近く、北米では見られないアジアの鳥を見ることができるからだ。 5月始めコミトとミラーが北米屈指の探鳥家60名以上と2週間のツアーでやってくる。 この年エルニーニョの影響か、西風に乗ってアジアからものすごい数の希少種がアッツ島へ舞い降り、大豊作に。 2週間後ミラーは、レヴァントンと入れ代わり帰路へ。 コミトはさらに2週間居続けることにしたが、この後直ぐに風向きが変わり、レヴァントンは希少種をかなり逃す。 これが後々彼にとって致命傷となったようだ。
アッツを去る時点で、コミト645種、レヴァントン619種、ミラー555種。
アッツ島といえば我々日本人にとっては玉砕で知られる島なのだが、実際になにが起きたのか知ることは無かった。 さすがジャーナリストの書いた本、端的に事実を教えてくれた。 その短い文章でもその痛ましさ苦しさは伝わってくる。
その日本人にとっても因縁の場所で、探鳥家達は身体を痛めながら、病原菌に冒され苦しみながら、自転車に乗って駆けずり回る。 厳しい集団生活と食生活のなか。
ただ彼らが大喜びをする鳥は、意外にも我々にはおなじみの鳥達、そうユーラシアの鳥達なのだ。 ミコアイサ、ホシハジロ、タカブシギ、オオハクチョウ、ツメナガホオジロ、ユキホオジロ、カシラダカ、アトリ、ウミバト、マミチャジナイ、オバシギ(30年に一度?)、ハリオシギ、ミヤマホオジロ(北米初)