生い立ち

 1932年生まれ?、1998年当時66歳? オーストリア移民の長男、ブロンクス育ち。
 レヴァンティンより上の学年で、子供の頃から、家計を助けるため働く。 ボーイスカウトのブロンクス分団に入り探鳥に目覚める。 朝鮮戦争で徴兵されテキサスへ一年半、その間も探鳥を忘れなかった。

職業

 ニューヨーク市立大学の夜間に通うも中退、ニュージャージー郊外の自宅で土建会社を始め、ヒスパニック系を雇い、その人をそらさぬ営業力と完璧主義で成功。 余裕ができた1980年代始めに本格的に探鳥を始める。  妻と三人の子供を連れた週末旅行や休暇旅行で徐々に、知識と経験を蓄えることに。

夫婦

 夫婦仲も良さそう、子供も大きくなり、妻も生活に満足している。

ビッグイヤーの始まり

 一月一日、メキシコ国境にほど近いアリゾナ州ノガレスのデニーズからスタート。 パタゴニア湖州立公園 ウスノドヒタキモドキ

旅の途中

 やはり他の二人と比べても、二度目のビッグイヤーであり余裕があるような。 ただ探鳥のやり方は分かっている分、以前よりさらに徹底している気も。 その結果、周囲と軋轢をおこすことも往々にしてあったようだが。
 ビッグイヤー期間中は、一年365日のうち270日は探鳥旅行に、自宅に居るのは90日だけだそうで、本に書かれた鳥と場所を抜き書きしただけでもこれだけ、実際は遠洋ツアーのキャンセル等で無駄足を何度もしており、その移動距離は凄まじいの一言。 大体、一月で342種の鳥を見ること自体が信じられない。

1月
 カナダ ブリティッシュ・コロンビア州ギブソンズ クロビタイサファイアハチドリ
 カナダ バンクーバー国際空港 ハッカチョウ
 ニュージャージー州フェアローン自宅 ムネアカゴジュウカラ
 アリゾナ州スーペリアー ボイス・トンプソン樹木園(boyce thompson arboretum) メキシココマツグミ
 アラスカ州アンカレッジ ヤマヒバリ
 テキサス州サンタアナ国立野生保護区 パフムジツグミ ムクドリモドキ ネコマネドリ ヒメシャクケイ
2月
 1日時点で342種
 ニュージャージー州自宅 アレンデイル セロリ・ファーム アオカケス ムナフヒメドリ
 バーモント州ジェリコ オナガフクロウ
 テキサス州ベンツェン州立公園 ノドジロコマドリ サメズアカアメリカムシクイ アカスズメフクロウ メンフクロウ メンカブリオタテガモ
 オクラホマ州ウィチタ山脈国立野生保護区 ポウニー国立草原公園 ソウゲンライチョウ
 コネチカット州ハモナセット・ビーチ州立公園 イスカ
 マサチューセッツ州プラム・アイランド国立野生保護区 ハシブトウミガラス
 テキサス州アミスタッド貯水池 クリボウシアメリカムシクイ
4月
 コロラド州ヘイデン ホソオライチョウ
 ペンシルバニア州レディング郊外オンテロニー湖 コザクラバシガン
 ハイ・アイランド ノドアカハチドリキンバネアメリカムシクイナツフウキンチョウ
 アナワック国立野生動物保護区 シマクイナ
5月
 アラスカ 12回目のアッツ島
 前回1993年のアッツ島で、ホテル代を巡りツアー主催者ラリー・バルチ(前ABA会長)ともめていた。
 グレッグ・ミラーと同じツアーになり存在を知る。
7月
 アリゾナ州トゥーソン南マデラ・キャニオン サンタ・リタロッジ サボテンフクロウ
 カリフォルニア州ヨセミテ国立公園 ノドグロアメリカムシクイ
 アラスカ州アンカレッジクック入り江 ソリハシシギ
 この時点で、コミト 703種、レヴァンティン 663種、ミラー 658種
8月~9月
 アラスカ州セント・ローレンス島 キアシシギ
 ケープ・ハッターラス オオトウゾクカモメ
 ノヴァ・スコシア オオハシウミガラス
 アリューシャン シラヒゲウミスズメ
 カリフォルニア州ソルヴァング キバシカササギ
 この時点で722種
10月
 ノースカロライナ州ケープ・ハッターラス ミス・ハッターラス号
 三人が一堂に会することに。
 コミト 736種、レヴァンティン 691種、ミラー 705種

ビッグイヤーの終わり

 745種で終了
 43万2000km?を旅し、使った金額は不明、想像するに、おそらく前回の6万ドル以上の10万ドル近くなのかも。
 12/29の南フロリダのホオジロオナガガモが745種目。 大晦日も自宅でホットラインを待つ。
 二位のミラーとの差は745種対715種と30種と少なく感じるかもしれないが、この700種を越えた時点での1種の重さは想像も出来ない。 やはりこの人の探鳥のやり方は別次元だった気が。

その後

 勿論その後も探鳥を続けていて、ネットで検索すると結構写真があり、日本にもやってきていて、いかにも話のうまそうな面白いおじさん然としている。 ビッグイヤーから5年後に妻が学位をとったお祝いにと一緒に世界旅行をして、妻が市内観光をするあいだ、自分は田舎で探鳥を楽しんだ。

映画との違い

 映画には、現実には存在しないニュージャージーの土建業者 ケニー・ボスニックが全米チャンピオンとして出てくる。 彼は2003年に732種で、サンディ・コミトの記録722を破ったという設定で。 確かにその行動力は飛び抜けているが、記録更新に執着するあまり、最後は妻に去られ孤独のうちに755種の記録更新を果たす結末に。
 間違いなくコミトがモデルなのだが、ボスニックはもっと若く、三度も結婚し二度離婚した男として描かれていて、モデルとなったコミトとはかなり違う。 実際はレヴァンティンより年上で、三人の子供を育てた家庭を大事にする人で、ちっとも不幸ではなかったのだから。
 ただ、探鳥は情報戦であり、駆け引きも必要で一枚上手の策を弄するのも得意だったのは事実のようだ。